魔女旅に出る

秋田東中の演奏。


タイトルとは全く関係ありませんが、美味しかったので( ˆ࿀ˆ )


高校時代は合唱部(正式に言うと音楽部)に所属していた私。
音楽が好きという思いだけで突き進んだモラトリアム期でした。
楽しく美しい思い出だけではなく、挫折や後悔といった苦々しい記憶(暗黒期?)の残る青春時代です。
最近ふと過去のNコン動画を聴き漁っていたところ秋田東中の存在を知りショックを受けました。



たった6人で臨むNコン!感動的な演奏です。


たった6人で臨むNコン!感動的な演奏です。 ②

特に自由曲の谷川俊太郎作詞の生きるが大好きです。今まで谷川さんの生きるといえば宮崎学園(私達の時代は無双状態だった)というイメージしかなかったのですがそれが塗り替えられました。
本当に素晴らしい。このような美しく素晴らしいものを語る語彙力がないのですが、言葉など要らぬ美しさだと思います。
この秋田東中の皆さんは6人という少人数の為顧問不在で正規部活動ではありませんが、声楽経験のある父兄から指導を受けていたようです。
人間は機械ではありませんから人が集まればその数だけ声量、歌唱法、ピッチコントロール力がそれぞれ違います。
合唱とはそのさまざまな個性や癖を矯正し、又は生かしながら一つの音楽にしていかないといけないので一人一人の意識が凄く大事なのです。
どんなに人数が多く、部員が全員声楽経験があり完璧なbel canto唱法で発声できたとしても、隣で歌っている人の声を聴けないソリスト気取りばかりでは駄目なのです。
楽譜を熟読し作曲家、作詞家の表現したい世界に思いを馳せ共鳴し、メンバーの声を聴き、自分一人が音楽を創り上げるのではない、みんなで創り上げていくのだと意識しなければ。
かと言え、人数が多いと迫力はあるし多少の粗を誤魔化しやすいというメリットはあるので、コンクールなどでは有利ですね。

その点秋田東中の皆さんはたったの6人しかいないのですから、誤魔化せる要素などなにもありません。
ピッチやリズムなど狂いようものなら丸分かり、そうならないよう一人一人が正確で完璧でなければありません。
この子たちは、曲やパートによってはハイソプラノの子はソリスト状態になっているほどです。
ソプラノ1の子(左端)、自由曲で序盤から主題をソリ状態で歌っています。音楽を物語に擬えると、序章となる大事な大事な部分です。それを一人でこんなに美しい歌声で正確なピッチで…。どんなに練習したのだろう。
アルトの子たち、発声自体がただでさえ難しいパートです。これをたった二人でこんなに力強く豊かに歌っていることに驚きました。低音がまるでテナーのように美しく響いていた…。
少人数ですからそれぞれの声と喧嘩しやすいという難しさがあります。それを一つの歌声のように溶けあわせ6人の調和を作り出しています。

普通なら一人や二人でこのような美しい旋律を紡ぎだせません。
ただならぬ努力があったと思います。
腹式呼吸の練習、ピッチを合わせる練習、指揮者がおりませんからみんなで息を合わせる練習…。
舞台の上でひたむきに歌うそれぞれの顔を見ていると、6人で懸命に努力した時の流れが見えてくるようで涙がこぼれました。
そして動画の説明文に掲載されていたこの文章にも泣かされました…。

審査員 講評  
私にとって、この学校の演奏を聴く体験は初めてではありませんし、少人数で見事な演奏、という賛辞も過去に書いたことがありますから、そのことを取り立ててもう一度言わなくても、と思っていても、6人でこの演奏をされてしまうと、驚かないわけにはいきません。演奏自体が感動的で、私の大好きな作品が見事に歌われ、私は演奏を聴いている間感動で体が震えっぱなしでした。私は「作品が悦ぶ演奏」という表現を好んで用いますが、この演奏を聴いていると、人が歌を歌うことの喜びと気高さにあふれていて、この演奏をされたことでこの名曲の価値は一層高まったように思いました。一人ずつの声がまっすぐで、しかし若い声のまっすぐな声作りで陥りがちな硬さがなく、ふくよかな響きと清潔感があり、なんとも良い声に聞き惚れてしまいました。良いヴォイストレーニングをされているのでしょう。私は合唱人口が増えることを願っているので、秋田東中の皆さんの仲間が何十人にもなるといいな、と思いますが、少ない人数だからこそ、個別の処方箋を丁寧にもらえる良さもあるのかな、と感じました。


この二曲を最近は毎日聴いています。
こちらは平成23年度の演奏ですから、この子たちは今22、23くらいかな?
素晴らしい女性に成長しているであろうことが、彼女達の美しい表情と歌声から想像できます。
一日に何度も繰り返し聴し、口ずさんでしまいます。

空に樹に人に 私は 自らを投げかける
やがて 世界の豊かさ そのものとなるために
私は 人を呼ぶ すると 世界が振り向く
そして 私がいなくなる

谷川俊太郎【生きる】